心臓超音波検査(心エコー検査)
心臓超音波検査は、周波数の高い超音波を用いて心臓の形態や機能を評価する検査法です。
非侵襲的かつ放射線を使用しないため人体に無害で、モニター上に心臓の動画像が得られるため、 心疾患の診断には必須の検査です。
検査時は、上半身の衣服を脱ぎ左側臥位の状態で、ゼリーを付けた超音波を発生する探触子(プローブ)という棒状の機械を前胸部に当てます。心臓の内部構造に当たって跳ね返ってきた反射波から動画像を形成します。苦痛もなく、安心して何度でも検査できます。
検査時間は、病状により5-30分と異なります。
心エコー検査法は、大きく4種類の画像構成法があります。
- Ⅰ. 断層(Bモード)法
- サルコイドーシス 左房粘液腫
- 心臓の観察の中心となる撮像法です。心臓の全体像を把握でき、心拡大や心肥大の有無、左心室壁運動の評価、心臓弁の開閉や形態、血栓や腫瘍の有無、下大静脈拡張の有無等を詳細に調べることができます。
- Ⅱ. Mモード法
- 左室肥大 拡張型心筋症
- 計測と定量的機能評価のための撮像法です。計測した測定値により、心拡大、心肥大、心機能低下の有無や程度を客観的に評価できます。
- Ⅲ. ドプラ法
- 血流をカラー画像化して、心臓内の血流や弁の逆流を定量的に評価するための撮像法です。血流の状態を観察することで、心臓弁膜症や先天性心疾患等による異常血流の有無、心腔内圧の推測等が可能です。
- ◎ カラードプラ
- 心房中隔欠損症 大動脈弁閉鎖不全症
- ◎ パルスドプラ
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- 左室拡張能正常 左室拡張能異常
- ◎ 連続波ドプラ
- 三尖弁閉鎖不全症 大動脈弁狭窄症(連続の式)
- 僧帽弁閉鎖不全症(PISA法)
- ◎ 組織ドプラ
- 左室拡張能正常 左室拡張能異常
- Ⅳ. ストレイン法
- ストレイン法は心筋が収縮あるいは伸長する割合を計測する方法です。心筋の真の局所機能を評価するもので、見た目では判定不能な左室壁運動障害や虚血部位の早期診断が期待されます。
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- 左室壁運動正常 狭心症(左前下行枝高度狭窄)
心疾患患者さん以外でも、高血圧や糖尿病等の生活習慣病により無症状で左室肥大や心機能低下を来していることがあるため、幅広い患者さんにお勧めしている検査です。